景気循環と株価の関係は、「クレジット(借金)の膨らみと返済の波」と「金利の動き」で整理できます。景気循環(経済サイクル)を4つの局面で捉えれば、株式相場の現在地を自分なりに把握できます。
2026年9月は、米国が約3年ぶりに利上げし、日本も政策金利1.25%へ引き上げた局面です。ただし現在地の断定は誰にもできません。金利・ニュース・VIX指数から仮説を立てるのが現実的です。
景気循環とは?経済サイクルで株価が動く仕組み
景気循環の正体は、クレジット(借金)の膨らみと返済の波です。この波が株価にも影響します。
経済は一見複雑ですが、本質は「買い手」と「売り手」による取引の集積です。ここで重要なのは、「お金」と「クレジット」の違いです。
- お金:取引をその場で完結させる決済手段です。
- クレジット:「将来支払う」という約束、つまり借金です。現代経済の取引の多くは、このクレジットで行われているとされます。
クレジットが増えると支出が増えます。誰かの支出は別の誰かの所得となるため、経済は連鎖的に成長します。
しかし、クレジットにはいずれ「返済」が伴います。この返済の波が、景気循環を生み出す正体です。
波が大きくなりすぎないよう、政府は財政政策で、中央銀行は金融政策でそれぞれ調整します。中央銀行とは、米国のFRB(米連邦準備制度理事会)や日本銀行のことです。
投資家は、自分がこの波のどこにいるかを客観的なデータで捉える必要があります。
金利と株価の関係:利上げは本当に株安なのか
金利は株価を動かす重要な材料の一つです。ただし「利上げなら株安」と単純には言えません。
よく「金利と株価はシーソーの関係」と言われます。基本の考え方は次のとおりです。
- インフレ(物価上昇)時:景気が過熱すると、中央銀行は政策金利を上げます。借入コストが上がり企業利益が圧迫されるため、株価には逆風となりやすい場面です。
- 景気後退時:景気を刺激するため、中央銀行は金利を下げます。お金が借りやすくなり、株価には追い風となりやすい場面です。
まれに「スタグフレーション(不況とインフレの同時進行)」も起こります。中央銀行が金利を動かしにくい難しい局面です。
それでも歴史的には、技術革新と人口増加により、世界経済は長期で成長してきました。ただし将来を保証するものではありません。
実例を見てみます。2026年9月16日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは2023年7月以来、約3年ぶりです(出典:OANDA証券、moomoo、2026年9月)。決定後、米国株の一部指数は一時1%超下げる場面がありました。
一方、日銀も9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げました(出典:日本経済新聞、2026年9月18日)。同日の日経平均株価は、前日比882円高の65,018円で取引を終えています(出典:中日新聞、2026年9月18日)。市場の予想どおりの決定だったことも一因とみられます。
金利の水準そのものより、事前予想との差や先行きの見方が、株価を大きく左右します。
株式投資では、金利の状況把握が欠かせません。大きな変動がないかを定期的に確認するには、日米の代表的な「10年国債利回り」を見るのが一般的です。10年国債利回りとは、満期10年の国債の利回りで、長期金利の目安とされる指標です。
景気循環の4フェーズと株価の傾向
景気循環は「春夏秋冬」の4フェーズで捉えると整理しやすくなります。ただし株価は、景気より先に動く傾向があります。
景気循環の4フェーズと株式市場の傾向
一般的な傾向の整理です。株価は景気より先に動くことが多く、この順に動くとは限りません
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| フェーズ | 景気と金利の状態 | 株式市場の傾向 |
|---|---|---|
| ① 回復期春 | 低金利、景気が底打ち | 上昇の開始 |
| ② 拡大期夏 | 景気好調、徐々に利上げ | 強気相場の継続 |
| ③ 後退期秋 | 高インフレ、急な利上げ | 下落・停滞 |
| ④ 不況期冬 | 景気悪化、利下げ開始 | 底値圏(弱気) |
出典:景気循環に関する一般的な解説をもとに筆者作成。
株価は景気を先読みして動く傾向があります。景気が悪いうちに株価が上向くこともあります。逆に景気が良くても、金利上昇で株価が不安定になることもあります。景気循環の大きな周期は、およそ7〜10年程度と言われています。
もう一つ押さえたいのが、「強気相場は長く、弱気相場は短い」という傾向です。強気相場は株価の上昇基調の時期です。弱気相場は、直近高値から20%以上下落した時期を指します。
S&P500の過去統計では、弱気相場は平均で約9.5〜9.6か月でした。一方で、強気相場は平均で約2.7年(約1,000日)です(出典:Hartford Funds、Bespoke Investment Group、2025〜2026年)。
集計期間によって数字は変わり、1970年代以降では弱気相場が平均約1年10か月という分析もあります(出典:三井住友DSアセットマネジメント、2022年10月)。
【2026年9月】株式相場の現在地:米国と日本
米国は「夏の終わりから秋」、日本は「夏(拡大期)」に近いと見ています。あくまで仮説であり、断定はできません。
米国:利上げ再開で警戒が必要な局面
米国は2026年9月、約3年ぶりの利上げに踏み切りました。政策金利は3.75〜4.00%です。同時に公表されたドットチャート(FOMC参加者の金利見通しを点で示した図)は、年内にもう1回の利上げを示唆しています(出典:moomoo、2026年9月)。
米10年国債利回りは、9月中旬に一時5%を超えた後、9月17日には5%を割り込みました(出典:財経新聞、2026年9月18日)。一方、S&P500は8月4日に最高値7,736を付けています(出典:日本経済新聞、2026年8月5日)。利上げ再開と株高が同居しており、警戒しながら見守る局面だと考えています。
日本:利上げが進むなかでの拡大期
日銀は9月18日、政策金利を1.25%程度へ引き上げました。6月の1.0%は、31年ぶりの高水準でした(出典:野村證券、2026年6月)。物価の上振れリスクを抑える狙いとされています。
日経平均株価は9月18日、65,018円で取引を終えました。8月中旬の69,000円台の高値からの調整局面を経て、持ち直しています(出典:外為どっとコム、2026年9月18日)。
米国市場は2022年に株価が底を打ち、そこから強気相場入りして約4年が経過しました。これがどこまで続くか注目しています。日本株は利上げが進むフェーズでも、株価が数年にわたり上昇を続けており、今後の動向に個人的にとても注目しています。
今後の日本株の見通しは、次の記事で詳しく解説しています。
株式相場の現在地を自分で見極める3つのチェック
現在地は、次の3つの視点でおおよその仮説を立てられます。正確に当てる必要はありません。
- 中央銀行は金利を上げているか、下げているか(FRB・日銀の公式発表で確認できます)。
- 世の中のニュースは総悲観(冬)か、総楽観(夏)か。
- VIX指数はパニックを示しているか。
VIX指数とは、米国株の予想変動率を示す指標です。「恐怖指数」とも呼ばれ、数値が高いほど市場の不安が強いとされます。あわせて、前述の10年国債利回りも定期的に確認しておくと安心です。
VIX指数などの指標を使って、一括投資のタイミングを判断する方法は次の記事で解説しています。
サラリーマン投資家はどう動くか
現在地の把握は、相場を当てるためではなく、備えるために使います。
毎月の積立投資は、価格の高い時も安い時も一定額を買う方法です。そのため購入時期が自然に分散されます。一括での購入は、警戒が必要な局面では数回に分けて買う考え方もあります。
積立は、証券口座で一度設定しておけば、相場の局面に関係なく続けられます。私自身は楽天証券とSBI証券を使っています。仕組みづくりは、相場が落ち着いている平常時に済ませておくと安心です。
▶ ほかの証券会社とも比べたい方は、松井証券の公式サイトで口座開設の内容を確認する
相場が下がる局面でも、慌てないことが大切です。弱気相場は平均で1年前後という統計はあります。ただし今回も同じとは限りません。生活費と投資資金を分けておくと、下落時も落ち着いて対応しやすくなります。
まとめ:現在地を把握しようとする努力が資産を守り育てる
今どのフェーズにいるかを正確に当てることは、プロの投資家でも難しいとされています。それでも金利・ニュース・VIX指数を見れば、仮説は立てられます。
「米国は夏の終わりで警戒が必要だが、日本は夏の活気がある」といった見方です。現在地を把握しようとする努力が、自身の資産を守り育てる力につながると考えています。
このスキルは、市場を眺めるだけでは身に付きません。実際に投資をしながら、身をもって習得していく必要があると思っています。
私自身、35歳の時点で資産はほぼ0円でした。ギャンブルから期待値の考え方で投資に切り替えた経緯は、次の記事で紹介しています。
最後に、経済の仕組みを学べる動画を紹介します。投資家レイ・ダリオ氏による解説動画で、日本語版もあります。2013年公開の内容で、現在地の分析ではありませんが、仕組みの理解に役立ちます。お時間のあるときにご覧ください。
30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio


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