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日本株は今後どうなる?上昇を支える4つの要因と下落リスク

日本株は今後も上がるのか、それとも今から買うと高値掴みになるのか。株価上昇のニュースが続くなかで、こうした不安を持つ方は多いのではないでしょうか。

日経平均株価は2026年6月に終値で7万2,000円台をつけ、9月初めも6万円台半ばで推移しています(日経平均プロフィルより)。

私は、今の日本株の上昇は一時的なブームではなく、国際情勢や産業構造の変化に支えられた流れだと見ています。ただし、これは筆者の見方であり、将来の値上がりが約束されているわけではありません。

本記事では、日本株の今後を左右する4つの構造的な要因と、投資の前に知っておきたい下落リスクを、初心者向けに整理します。

日本株の今後を左右する要因① 地政学の転換

1つ目は、アメリカの外交・経済戦略の変化です。長く日本経済の重荷になっていたアメリカの戦略が、今は日本への追い風に変わりつつあります。この国際的な力関係の変化が、日本株が見直される重要な要因になると私は考えています。

日経平均株価の推移(1980年~2026年)のグラフ

(出典:世界経済のネタ帳)

アメリカの戦略変更

約40年前の1980年代、アメリカは急成長する日本経済を大きな脅威とみなしていました。激しい貿易摩擦の末に円高が進み、これがその後の日本経済の長期停滞の一因になったと言われています。しかし現在、アメリカが最も警戒している相手は中国です。アメリカの主な警戒対象が日本から中国へ移ったことで、日本はアジアの重要な同盟国として見直されつつあります。この地政学(国際情勢と地理の関係)の変化は、日本経済にとって追い風になり得ます。

日本企業への恩恵

アメリカの戦略変更は、日本国内の産業にも恩恵をもたらし始めています。中国への先端技術の輸出が厳しく制限されるなかで、世界の供給網(サプライチェーン)を組み直す動きが進み、安全な投資先として日本の存在感が高まりました。海外の大手企業が日本国内にデータセンターや半導体工場を新設する動きは、その象徴的な例です。地政学的なリスクの高い地域から、比較的安定している日本市場へ投資マネーが流れ込む構造が進みつつあります。

要因② AI半導体特需

世界的なAI(人工知能)ブームは、日本の製造業にも大きな需要をもたらしています。AI開発そのものよりも、それを支える周辺技術で、日本企業が高いシェアを持つ分野があるためです。

製造装置の優位性

ゴールドラッシュの時代に最も利益を得たのは、金を探す労働者ではなく、彼らにツルハシを売った商人だったと言われます。現代のAI産業において、日本企業はこの「ツルハシ」を提供する存在になっています。高性能な半導体をつくるための微細加工装置や検査装置の分野では、一部の日本企業が世界市場で高いシェアを持っています。AI向けの半導体需要が増えるほど、日本の装置メーカーには受注が集まりやすい構造があります。

素材産業の強み

製造装置と並んで日本が強みを持つのが、半導体の製造に欠かせない特殊な素材の分野です。シリコンウェハー(半導体の土台になる円盤状の基板)やフォトレジスト(回路を焼き付けるときに使う感光材)など、極めて高い純度と品質が求められる素材で、日本企業は世界的に高い競争力を持っています。最先端の半導体工場が世界のどこに建てられても、日本の素材メーカーの供給に頼る部分が大きいとされています。こうした供給網の根幹を担う産業構造が、日本株全体の業績を支える一因になっています。

要因③ インフレの本格化

長年続いたデフレ(物価が下がり続ける状態)が終わり、インフレ(物価が上がり続ける状態)の時代に入りました。この経済環境の変化は、株価を押し上げる要因の一つになっています。

日経平均株価と名目GDPの推移のグラフ

(出典:トウシル 2026/6/10記事)

デフレ経済の終焉

2022年頃から始まった原材料価格の高騰は、当初は企業にとってコストが増える要因として警戒されていました。このコストによるインフレは、今では人手不足に伴う賃金の上昇を巻き込んだ構造的なインフレに変わりつつあります。企業は長年ためらっていた値上げ(価格転嫁)を進められるようになり、物価と賃金が連動して上がる新しいサイクルが回り始めました。現金を持っているだけでは価値が目減りするため、資産の一部を株式などに移す動きが広がりやすくなります。

株価への波及効果

インフレが定着すると、企業の売上高や利益といった名目上の数値が大きくなります。商品の価格が1割上がれば、販売数量が同じでも売上高は1割増え、利益の水準も膨らみやすくなります。株価は企業の将来の利益をもとに評価されるため、名目上の利益が増えれば、株価の押し上げ要因になります。ただし、コストの上昇を価格に転嫁できない企業では、利益がかえって圧迫されることもあります。

要因④ 円安の影響

歴史的な円安が続いてきたことも、日本企業の業績や海外からの投資に大きく影響しています。為替レートの変動は、株式市場に大きな影響を与えます。

企業業績への貢献

自動車や機械などを海外へ販売する輸出企業にとって、円安は利益を押し上げる要因です。海外で商品を1万ドルで販売した場合、1ドル100円なら100万円の売上ですが、1ドル160円なら160万円の売上になります。為替差益(為替の変動で生まれる利益)が賃上げや株主への配当の増額に回れば、株式市場全体の追い風になります。円安は輸出企業の利益を押し上げる一方、輸入に頼る企業や家計にとってはコスト増になる点も押さえておく必要があります。

海外資金の流入

海外の機関投資家から見ると、円安は日本の資産が割安になっている状態です。ドルなどの外貨を持つ投資家は、少ない資金で多くの日本株を買えます。企業の業績が円安で上向いている一方、ドルで換算した株価は割安に見えるという差が、海外マネーの買いを呼び込んでいます。日本株の売買代金の多くを占める海外投資家の動向は、相場を大きく左右します。

日本株の今後に潜む下落リスク

上昇を支える理由がある一方で、相場の流れを大きく変えるリスクもあります。日本株は短期間で大きく下がることがあり、投資した元本を下回る可能性もあります。楽観的な見通しだけでなく、悪いシナリオも事前に知っておくことが大切です。

長期金利の上昇

日本銀行は物価の上昇を抑えるために利上げを続けており、2026年9月の金融政策決定会合では、政策金利を1.25%程度に引き上げました。日本政府が抱える巨額の財政赤字も、金利の上昇圧力になり得ます。長期金利(10年物国債の利回り)が急に上がれば、企業が設備投資などに使う資金の調達コストが増え、業績を圧迫します。国の財政への不信感が市場で高まれば、円の急落や、抑えの効かない金利の上昇を招くリスクもあります。

円高への反転

円安を追い風にしてきた企業にとっては、円高への反転もリスクです。2026年7月末には日米の通貨当局が円買いの協調介入を行い、日銀の利上げペースが速まるとの見方も広がりました(国際通貨研究所、2026年9月)。円高が進めば、輸出企業の円建ての利益が目減りし、海外投資家の売りにつながる可能性があります。

インフレと不況の同時発生

物価の上昇に賃金の上昇が追いつかなくなると、スタグフレーション(インフレと不況の同時発生)と呼ばれる厳しい経済状態に陥ります。モノの値段だけが上がり続け、消費者の購買力が落ちれば、国内の消費は一気に冷え込みます。企業は売上が減っているのに、原材料費や人件費の高騰に苦しみ、利益が急に悪化します。スタグフレーションは株式市場にとって最悪のシナリオの一つで、株価を大きく下げる要因になります。

⚠ 注意 ここで挙げた上昇要因が逆に動けば、日本株は短期間で大きく下落することがあります。投資は元本保証ではありません。生活資金とは分けて、余裕資金の範囲で考えることが大切です。

日本株を資産全体の中でどの程度持つかは、守りと攻めで資産を分ける「コア・サテライト戦略」の考え方が参考になります。詳しくは次の記事で解説しています。

まとめ:日本株の今後は上昇要因とリスクの両方で考える

日本株の今後を左右する要因とリスク

本記事の内容を整理(2026年10月時点)

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要因主な中身日本株への影響
地政学の転換アメリカの警戒対象が中国へ移り、日本が同盟国として見直される上昇要因
AI半導体特需製造装置や素材の分野で、日本企業が高いシェアを持つ上昇要因
インフレの本格化値上げと賃上げが進み、企業の名目上の利益が増えやすい上昇要因
円安輸出企業の円建ての利益が増え、海外マネーも入りやすい上昇要因
長期金利の上昇利上げや財政不安で、企業の資金調達コストが増える下落リスク
円高への反転利上げや為替介入で、円安の追い風が弱まる下落リスク
スタグフレーションインフレと不況の同時発生物価高に賃金が追いつかず、消費と企業の利益が落ち込む下落リスク

日本銀行は2026年9月の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度に引き上げました。

上昇要因は将来の株価の上昇を約束するものではありません。

出典:日経平均プロフィル、日本銀行の金融政策決定会合(2026年9月)に関する各種解説、国際通貨研究所のレポート(2026年9月)などをもとに作成。

日本株の上昇は、アメリカの戦略変更による地政学的な追い風、AI半導体での技術的な強み、インフレの定着、円安という4つの構造的な要因に支えられています。一方で、長期金利の急上昇や円高への反転、スタグフレーションといった下落リスクも無視できません。これから日本株に投資する方は、上昇要因とリスクの両方を比べたうえで判断することが大切です。一度に全額を投資するのではなく、毎月一定額を積み立てる方法は、買う時期を分散して高値掴みのリスクを抑える一つの手段です。

私自身も、積立投資を資産形成の土台にしています。35歳の時点で資産がほぼ0円だった私が、ギャンブルや浪費から期待値の考え方で投資に切り替えた経緯は、次の記事で紹介しています。

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本記事が、日本株の今後を考える際の参考になれば幸いです。

本記事は筆者の経験と公開情報にもとづく情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は元本が保証されておらず、損失が出る可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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