第26回:【実践編 資産形成の加速】コア・サテライト戦略とレバレッジ商品の「論理とリスク」

資産運用

これまでの資産運用の記事では、再現性の高いインデックス商品を定期的に買い付け、ある基準を満たした際には一括で資金を投入するという、いわば資産運用の「土台」部分を固める戦略について説明してきました。

※第22回の記事はこちら →第22回:【実践編 経済サイクルの基礎】市場の「現在地」を探ることの重要性

※第19回の記事はこちら →第19回:【実践編 一括投資の論理】「恐怖」を買い場と捉える ~客観的指標とマインドセット

今回は、読者の方が既にこの土台の部分をしっかりと積み上げていることを前提に、更に資産形成のスピードを加速させるための戦略についてご説明したいと思います。

資産の最適配置:「コア・サテライト戦略」

自身の保有資産を、長期安定成長を目的とした「守りの資産(コア資産)」と積極運用・短期売買を目的とした「攻めの資産(サテライト資産)」に分けて運用する戦略を「コア・サテライト戦略」と呼びます。

具体的には、資産の大部分にあたる7~9割は「コア資産」で用意し、残りの1~3割を「サテライト資産」として、積極的に利益を狙っていくという戦略です。

土台となるコア資産は、これまで解説してきた全世界株式やS&P500などのインデックス投資で強固に固めることが大前提となりますが、攻めの部分にあたるサテライトでは、よりリスクの高い構成を組むのです。

 

サテライトで検討していくレバレッジ商品とは?

サテライト部分では、ある程度ボラティリティ(価格変動)が高い商品を選んでいくことになり、いわゆるレバレッジ系インデックス商品が一つの選択肢となってきます。

レバレッジ系インデックス商品とは、ベースとなる株価指数の値動きに対し、一定倍率(2倍や3倍)を掛けた運用成果を目指すハイリスク・ハイリターンの金融商品です。

勿論なんでも良いという訳ではなく、基本的には「これまでの歴史的成績が良い」「ベースとなる指数が強い」に限定して選定することを推奨します。

以下に、代表的なETF(上場投資信託)と投資信託を一覧表にまとめました。

分類銘柄名(通称)銘柄コード投資対象とレバレッジ水準
投資信託iFreeレバレッジ NASDAQ100(通称:レバナス)NASDAQ100指数 (2倍)
投資信託iFreeレバレッジ S&P500S&P500指数 (2倍)
国内ETFNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ連動型上場投信1570日経平均株価 (2倍)
米国ETFプロシェアーズ・ウルトラプロQQQTQQQNASDAQ100指数 (3倍)
米国ETFディレクション・デイリー・S&P500・ブル3倍SPXLS&P500指数 (3倍)
米国ETFディレクション・デイリー・テクノロジー・ブル3倍TECL米国情報技術セクター (3倍)
米国ETFディレクション・デイリー・半導体・ブル3倍SOXL米国半導体セクター (3倍)

(※投資信託にはETFのようなティッカーシンボルや4桁の銘柄コードがないため、証券会社の投資信託検索画面にファンド名を入力して探してください)

ETFは高いレバレッジ(3倍)が選択できる点や即時取引が魅力ですが、手数料が高めに設定されます。一方、投資信託(レバナス等)はレバレッジが2倍になるものの、100円から購入でき、円建てで完結するため、金額ベースでのスポット購入には適しています。

KEN
KEN

最初のうちは、サテライト部分は小額からの購入でスタートすることをおすすめします。おそらく想像以上のスピードで値動きするはずなので、その感覚をまず養うことからスタートすると良いと思います。

 

購入のタイミング:恐怖を買いに向かう

これらの商品は常に一定額を積立で買い続けるものではありません。

購入のタイミングは、第19回で解説した「VIX指数」や「Fear & Greed Index」などの客観的指標を活用し、市場がパニックに陥り、指標が「極度の恐怖」を示したタイミングでの購入を狙います。

※第19回の記事はこちら →第19回:【実践編 一括投資の論理】「恐怖」を買い場と捉える ~客観的指標とマインドセット

俗にいう「順張り」戦略はかなり高いリスクを背負うことを認識しておく必要があります。

 

レバレッジ商品のリスクを把握する

レバレッジ商品は高いリターンが狙える反面、特有の構造的リスクがあることを十分に理解しておく必要があります。

具体的には以下の2点です。

  • レンジ相場での減価:

相場が上がったり下がったりを繰り返す(もみ合い)と、複利効果がマイナスに働き、元の指数が元の価格に戻ってもレバレッジ商品の価値はどんどん目減りしていく仕組みになっています。

<具体例>

単日の値動き

基準となる指数が1日で「1%上昇」すれば、2倍商品は「2%上昇」、3倍商品は「3%上昇」します。逆に「1%下落」すれば、それぞれ「2%下落」「3%下落」する。

複数日の値動き(減価の罠)

指数が「100→105(+5%)→100(-4.76%)」と元の値に戻った場合でも、2倍商品は「100→110(+10%)→99.5(-9.52%)」となり、元本割れを起こす。

相場が上下を繰り返すほど価値が目減りするため、長期保有には構造的なリスクが伴う。

  • 暴落時のインパクト:

指数が1日で大きく下落すれば、3倍レバレッジ商品は一気に価値を失います。歴史的な大暴落時には、理論上ゼロに近づくリスクを孕んでいます。

KEN
KEN

サテライト部分は購入時に「最悪の場合、全額失うかもしれない」という気持ちで購入するのが良いですが、仮に利益が出た場合、「一度購入した元本分を利益確定してしまう」という戦略が取れます。そうすれば、含み益の部分が本当に0になっても実質的な損失も0になります。

 

まとめ:上級者向けの加速装置として

今回ご紹介したレバレッジ商品を用いたコア・サテライト戦略は、株式投資の基礎知識が十分に身につき、強固なインデックスの土台(コア)が完成している方に向けた「上級者向け戦略」となります。

サテライト枠で購入する際は、「最悪の場合、この資金がゼロになっても生活や人生計画に影響がない」という気構えと余剰資金でのみで実行することを強く推奨します。

一方で、リスク構造を正確に理解した上で活用すれば、資産形成のスピードを加速させる強力な武器となってくれるはずです。

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