第20回:【実践編 転職案件の見極め】「本音」と「建前」の整理とエージェントとの距離感

転職・キャリア

第17回でお話しした通り、自分という商品のパンフレットである職務経歴書をベースに、エージェントとの面談を通じて自分の市場での立ち位置(労働価値)を確認したら、次に実施するのはいよいよ案件への応募です。

[第17回の記事はこちら:【実践編 面談の最適化】エージェントを「査定官」として活用し、自らの市場価値を見極める]

今回は、私なりに考える「応募すべき案件のジャッジ方法」についてご紹介します。

転職活動を始めて間もない初期の段階では、エージェントから様々な案件を提示され、時に自分の「転職軸」を見失ってしまいがちです。

結果的に本末転倒な転職をしてしまわないよう、気を付けておくべきポイントについてまとめました。

譲れない条件(絶対フィルター)の設定

まず、今回の転職を実現する場合、「今の会社で実現できていない何の課題を解決したいのか」を明確に書き出してください。

給与の低さか、転勤の多さか、リモートワーク等の柔軟な働き方ができないことか、あるいは自分のスキルが活かせていないことか。

現職と比較して改善したいポイントを洗い出し、その中で「絶対に譲れない条件」を数個決めておきましょう。

そして、決めた後は「それが実現できない案件には絶対に応募しない」というルールを自分の中で設定してください。

KEN
KEN

絶対に譲れない条件を決めておく、という作業は住宅購入にも近い部分があります。自分が納得すれば、活動を進めていく中で得られた情報から微調整していくことも考慮すると良いでしょう

「本音」と「建前」の整理

次に、あなたの「転職軸(なぜ転職するのか)」を改めて整理してください。

これは面接官やエージェントに聞かれた際に即答するための重要な情報になります。

ここでおさえておくべきポイントがあります。

それは、先ほど設定した「絶対に譲れない条件(本音)」と、面接で語る「転職軸(建前)」を、すべてにリンクさせる必要はないということです。

要は、「本音」と「建前」を整理して、うまくまとめ上げる、ということです。

本音と建前を混同すると、「給与を上げたいから御社を志望しました」というような、ビジネスとして不適切なコミュニケーションに陥ってしまいます。

これらは以下のように「分離」して整理するのが賢明です。

① 建前(転職軸)に変換・リンクできる本音

自分の現在感じている不満の中で、ポジティブなキャリアビジョンとして変換できるものは「建前」として大いに活用することが可能です。

以下にいくつかの具体例を示します。

  • 本音: 現職の赤字事業への不安から脱却したい。
  • 建前: 経営基盤が安定した環境で、自身の経験を活かし、中長期的に事業へ貢献したい
  • 本音: リモートワーク中心で柔軟に働きたい
  • 建前: 共働きや幼い子供がいるため、柔軟な働き方が可能な環境で、生産性を最大化し成果にコミットしたい
  • 本音: 今の部署では自分の経験が活かせない
  • 建前: これまでの知見を活かし、日本の技術を世界に広めることに貢献したい

② 建前(転職軸)に変換が難しい(もしくは控えた方が良い)譲れない条件

一方で、以下のような細かい条件は、面接で語る「軸」には組み込まず、エージェントを通しての確認にとどめておくのが無難です。

  • 給与のUP
  • 都心オフィス勤務
  • 転勤なし
  • 福利厚生関係

これらの条件は、事前の求人(オファー)情報で満たすか否かをフィルターにかけ、その後の詳細確認は自分で直接企業に伝えるのではなく、エージェント経由で確認するのが賢明です。

理由は、条件面に偏った理由で志望企業を選別していないか?と疑われることを回避する為です。詳細の確認は一次面接をクリアしてからで問題ありません。

一方で、これらの条件に全く当てはまらない求人やオファーには、最初から応じる必要はありません。

絶対に譲れない条件は、自分の腹の中でのブレない軸として保持しておきましょう。

エージェントの「言いなり」にならない

以前説明した通り、エージェントの真の顧客は企業であり、我々応募者はあくまで「商品」にすぎません。

 参考記事:第14回【実践編 エージェント戦略】JTCサラリーマンが選ぶべき転職プラットフォームと情報の「裏取り」

そのため、エージェントにすべての判断を委ねてしまうと、エージェント側の都合(紹介しやすい、採用されやすい等)で、自分の理想から外れた案件に誘導されてしまうリスクが高まります。

エージェントはあくまで「一部の案件の担当窓口」と捉え、応募すべきかどうかのジャッジは、必ず自分主導で見極めることを心掛けてください。

KEN
KEN

エージェントには得意分野がそれぞれ異なり、保持している案件数もまちまちです。その辺りの事情も加味したうえで、彼らの扱う案件ベースで適切な相談をおこなうことを心掛けましょう

まとめ 転職活動を自律への行動に繋げるために

転職活動を焦ってしまうと、「まずは練習のつもりで受けてみましょう」という様な、エージェントの言葉に流され、希望に沿わない案件に応募してしまいかねません。

転職について、私個人の意見は「今の職場より条件が悪くなる転職は絶対にしない」です。

いくら現在の職場に不満や課題があったとしても、見た目上の条件が悪化する他社に移籍したところで、同じような、もしくはもっと強い不満を抱えてしまう可能性があるからです。

正直な所、職場での上司や同僚といった人間関係や、顧客環境、企業方針など、自分の力でコントロールできないものはいわゆるガチャの世界で、運の要素は避けられません。

一方で、見た目の条件(給与、勤務地、福利厚生など)はしっかり選別することが可能です。

(また、以前に紹介した口コミサイトを活用することで、求人票にはない様々な情報を入手することも可能です →第14回:【実践編 エージェント戦略】JTCサラリーマンが選ぶべき転職プラットフォームと情報の「裏取り」

従って、自分で決めた「譲れない条件」についてはよほどのことがない限り、堅持することを強く推奨します。

これまで何度も言っている通り、転職活動をした結果「今は転職しない」という結論を出すことも、キャリアの最適化において極めて重要な決断です。

このプロセスを経て現職に留まるのと、何も行動しないで不満を抱えたまま留まるのとでは、今後のキャリア形成において、天と地ほどの差が生まれます。

自分という商品を安易に安売りせず、良い買い手が見つからなければ、改めて自分磨きに専念すれば良いのです。そうすればいつかきっと貴方を必要とする企業が現れるはずです。

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