前回記事でお話しした通り、不動産ポータルサイトの定期的なチェックで相場感を養いながら、優良物件を探し続けます。その結果、候補となる物件が出てきたら、業者への問い合わせをおこない、内見へと進むアプローチとなります。
その過程の中で、ポータルサイトのチェックと並行して、もう一つ重要な行動があります。
それは、自分の希望を把握し、物件の資産価値を客観的に評価してくれる「信頼できる不動産仲介業者」を見つけておくことです。
但し、どの業者に任せても良いという訳ではありません。
今回は、一般的な会社員が「資産性」と「居住性」を兼ね備えた住宅購入を成功させるために、自分(買い手)側につける仲介業者の選び方と、物件ごとの有効なアプローチ方法について解説していきます。
不動産仲介における「媒介契約」
不動産の「媒介契約」とは、不動産を売り買いする際、その売主や買主が、取引の仲介を依頼する不動産業者(宅地建物取引業者)との間で締結する契約のことです。
受託する業務の範囲
媒介契約により不動産仲介業者(パートナー)が、売主や買主から通常受託する業務の範囲は以下の図の通りです。


(引用元:国土交通省HPより)
媒介契約の種類
また、不動産の媒介契約には、3つの類型があり、それぞれ以下のような特徴があります。
物件の売主がどの類型で媒介契約を締結するかによって、買い手側から見た売り手側の仲介業者が変わってきますので、内容を理解しておきましょう。

※上図の「レインズ」の概要についてはこちらをクリック
(引用元:国土交通省HPより)
不動産仲介業者(パートナー)に期待すること
我々、買い手側としてはまず自分の「お抱えの仲介業者」を1社持っておくことを推奨します。
理由は、物件の売り手側の仲介業者はあくまで「売り手側の立場」に立っている為、客観的で平等な評価や情報が得られないリスクがあるからです。従って、不動産選びにおいては、自分と同じ方向を向いてくれる信頼できるパートナーの存在は不可欠なのです。
具体的には以下のサポートを依頼していきましょう。
資産性評価
前述の通り、売主側の業者は「何とかして売りたい」の気持ちが高いはずで、物件のメリットを中心に説明してくる傾向が強いです。従って、第三者のフラットな目線で、デメリットも含めた対象物件の資産性を評価してもらいましょう。
売出価格の妥当性検証
上記の資産性と関連して、実際の売り出し価格が相場と乖離していないか、周辺の成約事例を元に分析してもらいましょう。この評価ロジックは不動産仲介業者によって異なります。
内見の調整・同行
建物構造や管理状態など、プロの目線でチェックを入れてもらいます。こちらも上記と同様で買い手側の仲介業者にお願いしてしまうと、不都合な情報が100%開示されないなんて言うリスクも出てきます。

自らの相場感覚に加え、我々購入者側に立つ業界に精通したプロのパートナーに相談することで、より情報の信ぴょう性を高めることが出来ます。
仲介業者(パートナー)の選定方法
WebやSNS上での検索
最近は、YoutubeやXなどのSNSで様々な情報発信をしている不動産仲介業者も増えてきました。エージェントとして少数精鋭で事業を展開しているケースもあれば、大手老舗で多くの従業員を抱えているケースもあります。一概にどの業者が良いと決めるのは難しいですが、まずはご自身でもSNS等を通じて色々と情報収集してみることをお勧めします。
傾向としては、やはりデベロッパー系の大手(三井のリハウス/住友不動産販売/三菱地所レジデンス、等)は安定感があると思います。一方で、アサインされる担当者はこちらで指定することが出来ない為、担当者の力量による当たり外れが大きいかもしれません。
一方で、エージェント系は上記デベロッパー系から独立して立ち上げているケースが多く、担当者の力量やノウハウが優れている傾向があります。但し、従業員数に限りがあることから、案件が立て込んでくると期待していたパフォーマンスが発揮されないケースもあるかもしれません。
おすすめの仲介業者
参考までに、私が過去に利用させて頂いた「おすすめの不動産仲介業者」を1社ご紹介しておきます。
REDS不動産流通システム(NHKテレビドラマ「正直不動産」を監修)
この業者は「仲介手数料が最大無料」または「すべて割引」というモットーを謳っており、コストメリットがあることに加え、在籍しているエージェントの質が非常に高く、大変頼りになる仲介業者です。
様々な疑問点にも丁寧に答えてもらえたので、私個人としてはとても満足度が高かったです。
あくまで個人的な意見なのでご参考までということで、ご理解ください。
人気物件には「ダイレクトコンタクト」
ここから少し話がそれますが、重要なお話をします。
以前の記事で紹介した方法を用いて洗練された相場感により、「これは明らかに割安だ」「滅多に出ない人気物件だ」と瞬時に判断できる優良物件に出会った場合は、あえて「お抱えの業者」を通さずに、物件情報を掲載している「売主側の業者」へダイレクトに問い合わせるという選択肢を取ることが有効な手段となります。
なぜか?理由はシンプルです。
「掲載業者が最も優先したい客は、直接問い合わせてきた個人客」だからです。
彼らにとって、あなたが直接申し込んでくれれば「両手仲介(売主・買主双方から手数料を得る)」となり、利益が最大化します。
複数の申し込みが数日のうちに殺到するような人気物件では、業者が裏で「自社の客(=あなた)」を優先して商談を進める「囲い込み」をおこなうことは、業界における実態として理解しておく必要があります。
もちろん、現金一括購入者が現れれば負ける可能性はありますし、プロのパートナーのサポートなしで売り手側の仲介業者と対峙していく訳ですから、自分自身での入念な知識武装が求められます。
ただ、住宅ローン利用という制約の中で「少しでも優良な物件の購入可能性を高められるか」を考えれば、このダイレクト戦略が最善の策になるという訳です。

滅多にお目にかかれない優良物件は本当にスピード勝負になります。売り手業者側も労せず販売できることを自覚しているので、まずは購入意思を誰よりも早く伝えることを意識しましょう。
「買取再販物件」と「仲介手数料」
最近増えている「買取再販物件(不動産業者が買い取ってリフォームして売る物件)」の場合は、さらに話がシンプルです。
これらは売主が不動産業者そのものであるため、直接取引すれば仲介手数料(物件価格の3%+6万円+税)が無料になります。
数千万円を超える買い物において、この100万円単位のコスト削減は極めて大きなインパクトを持ちます。
但し、リフォームと買取り業者の利益が乗った価格となるため、売り出し価格が高めに設定されやすい点は、注意が必要です。
まとめ
これまでの内容から、物件の種類による有効なアプローチを以下にまとめます。
- 通常の物件: お抱えの仲介業者経由で、プロのアドバイスを受けながら慎重に。
- 優良物件: 掲載業者へダイレクトに。スピードと「両手」のインセンティブで優先権を得る。
- 買取再販物件: 売主業者へダイレクトに。手数料0+価格交渉でコストを軽減。
「相場感」を養うことの真の価値は、ポータルサイトを見た瞬間に、上記3つのうちどのルートで攻めるべきかを迷いなく判断できるようになることにあります。
これこそが、戦略的な住宅購入を成功させるために必要な立ち回りなのです。
相場感を鍛えながら信頼できるパートナーを見つけ、勝負どころでは冷静に最適なアプローチを仕掛ける。この戦略を取ることで、「資産性」と「居住性」を両立した価値の高い住宅を購入できる可能性がぐんと高まるものと考えています。是非参考にしてみてください。


コメント