第8回:【市場価値の可視化】会社の「外」に立つ勇気が、自らの経験を「最強の武器」に変える

転職・キャリア

導入:形のない「不安」の正体

今回は「転職」についてお話ししていきたいと思います。

皆さんは転職と聞くと、どういったイメージを持たれるでしょうか?

かつての日本における「石の上にも三年」「終身雇用」という美徳は、今や統計データの上でも過去のものとなりつつあります。

マイナビの「転職動向調査2025年版」によれば、正社員の転職率は年々上昇傾向にあり、特に2024年の実績では、全年代を通じて「より良い条件」を求めて動く人が一般化しています 。

また、40代サラリーマンを対象とした調査では、実に60.6%の人が「転職の意向(潜在層含む)」を持っているという結果も出ています 。

しかし、私自身が最初に転職を考え始めた時、真っ先に浮かんだのは以下のような強烈にネガティブな思考でした。

  • 「今さら外に出てこれまで積み上げた人間関係や実績が無駄になるのでは?」
  • 「新しい製品知識や特有の社内ルールを一から覚えるのはとても大変だろう」
  • 「育ててくれた今の会社や、親しい同僚・後輩を裏切るようで申し訳ない」
  • 「40代の転職なんて年収下がるのが当たり前なのではないか?」

結論から申し上げます。

これらの心配は、現代のハイクラス転職市場においては「全くの杞憂」でした。

むしろ、これらのネガティブな思い込みこそが、あなたの「会社員としての市場価値」を毀損し、組織への過度な依存を生んでいる原因かもしれません。

私が駐在地から帰国し、40歳で管理職試験不合格という「突きつけられた現実」から、いかにして転職を「自律へのレバレッジ」に変えたのか。その戦略をお伝えします。

40歳、管理職試験不合格。「会社への依存」のリスクを悟った日

私の転機は、40歳の時に言い渡された「管理職試験の不合格通知」でした 。

それまでの私は、これまで勤め上げてきた会社の優等生として、上司の期待に応え、単身海外駐在という過酷な環境でも、会社に尽くしてきました 。

しかし、その通知を受けた瞬間、悟ったのです。

**「自分の人生のハンドルを、自分では制御不能な仕組みを持つ会社に、安易に委ねてしまっていた」**という事実に。

そこから私は、前章で述べた通りまず株式投資を学びました。

そして、次に着手したのが「キャリアの自律」である「転職」という選択肢でした。

当時の私は、転職に関する知識が皆無で、「転職=未経験の業種で心機一転、多大な苦労を伴うもの」という、今思えば非常に効率の悪いイメージを抱いていました。

駐在地からの戦略的準備:YouTubeとネットで知った「転職への誤解」

私は駐在先から帰国するまでの間、YouTubeやネット上の信頼できるリソースを徹底的に活用し、現代の転職市場を基礎から徹底的に勉強しました。

そこで得た知見は、私の固定観念を180度覆すものでした。

1. 転職活動の最大メリットは「自身の市価価値を知る」こと

最も驚いた事実は、「転職活動=会社を辞めること」ではないということです。

転職活動を通じて、職務経歴書を書き、エージェントと対話し、市場のオファーを見る。

このプロセス自体が、以下の判断を下すための「最強の自己分析」になります。

  • 「今の自分のスキルは、現在の転職市場では年収いくらの評価なのか?(市場価値の把握)」
  • 「今の会社の環境は、実は市場平均よりも恵まれているのではないか?もしくは逆なのか?(現状の再評価)」
  • 「希望の年収に届かない場合、あと何のスキル(英語、マネジメント経験等)を補完する必要があるのか?」

2. 年収アップの王道は「近接領域」にある

「心機一転、未経験へ」は、40代にとっては期待値が著しく低い戦略です。

自分の経験とスキルを最大限にレバレッジ(テコ)として効かせ、年収アップや就労条件の向上を勝ち取れるのは、あくまで「近い業界・職種」への転職です 。

JTCで培った「組織を動かす作法」や「専門知識」を、喉から手が出るほど欲しがっている他社(競合や関連業界)へスライドさせる。これが最も合理的な選択となります。

3. 「人間関係の喪失」という幻想

「会社を辞めたら親しい仲間とも疎遠になるのでは?」という不安も杞憂でした。

実際に動いてみて分かったのは、本当に強いつながりのある同僚や先輩・後輩とは、所属する会社が変わっても、「社外の戦友」としてより深い関係を築けるということです。

むしろ、外の世界に出ることで「今の会社の人間関係を清算(信頼できる人のみと関係を継続、他は関係を絶てる)」+「新たな環境で新たな仲間が増える」の一石二鳥になったなというのが、人間関係に関する率直な感想でした。

今すぐ、あなたの「市場価値」を市場に問うべき理由

私は帰国後すぐに、以下のステップを機械的に、そしてスピーディに実行しました。

  1. 職務経歴書の作成: 自分の「キャリアの棚卸し」を言語化する。
  2. プラットフォーム(ビズリーチ等)への登録: 自分の「現在地」にどんなスカウトやオファーが来るかを確認する 。
  3. エージェント(JACリクルートメント等)との面談: プロの目から見た自分の「強み」「弱み」「改善点」「次に取るべき行動」等を指摘してもらう 。

このプロセスを経ることで、私は「会社に依存しながらしか生きていけない自分」から、**「いつでも外に出られる選択肢を持ちながら、あえて今の会社を『クライアント』として契約する自分」**へと脱皮することができました。

今の会社の看板を下ろした時、あなたにいくらの値がつくのか。

それを知ることは、恐怖ではなく間違いなく「自律」への大事な一歩です。

結論:まずは「判定」を受けることから始めましょう

安易に「今の仕事を辞めろ」と言うつもりは全くありません。

ただ、もし貴方が今の会社に何かしらの不満を抱えている場合、「自分が市場でどう評価されるのか」というデータを持たずに、組織の論理に疲弊し続けるのは、期待値計算をせずにギャンブルに自分というかけがえのない財産を投じるのと同じ行為だと思うのです。

「依存している熱量は、才能である」

かつてパチスロの高設定やメインレースの勝ち馬を必死に探したその分析力を、今度は「自分の市場価値」の把握という、人生においてとても重要な分析に向けてみてください。

まずは、ハイクラス向けの転職プラットフォームに登録し、履歴書をアップロードすることから始めましょう。

スカウトメールの一通一通が、あなたの閉塞感を打ち破る「希望の光」になるはずです。

尚、念の為ですが、各プラットフォームには現在所属している会社や、そのグループ会社まで指定して自身の情報を非公開にできるフィルター機能がありますので、会社に転職活動がばれてしまうリスクはほとんどない、ということを付け加えておきますね。

次回は3つ目の最適化のテーマ、インフレ時代における戦略的な「住宅購入」についてご紹介したいと思います。

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